先日居酒屋で、イシダイの造りが旬として置かれていました。
たしかにイシダイというと、
春夏によくお造りや焼き物としてお目にかかります。
ですが、実際の旬について調べてみると、
書籍などによっていろいろ意見が違っていそうでした。
今回は、そんなイシダイについてお話しさせていただきます。
まず生物学的には、
イシダイは、スズキ目イシダイ科の魚で、体長は成魚で50cm前後です。
歯と顎も頑丈で、餌となる甲殻類や貝類、ウニなどを、殻ごと噛み砕きます。
このことから、「石も噛み砕くタイ」として、
「イシダイ」と名付けられました。
白色の体に縦に走る7本の黒い縞が一番の特徴で、
別名「シマダイ」とも呼ばれています。
また、成長すると口周りが黒くなることから、
「クチグロ」とも呼ばれています。
なんかいろんな呼ばれ方がありますね。
ちなみに、あの縞模様は、
メスだと成長しても消えませんが、
オスだと成長するにつれて薄くなっていき、やがて銀灰色だけになってしまいます。
食材としては、
タイと同じように、
造りやカルパッチョなど生食されたり、
煮物や焼き物として利用されることが多いです。
釣り人にはその釣り糸を引く力強さから「荒磯の王者」として親しまれ、
実際にタイとは違って磯の香りがわずかにします。
また、タイよりも食感がコリコリとしていて、
夏には柑橘類とともにさっぱりといただくことができます。
商品としては、タイよりも高級とされ、
養殖が盛んでないことも相まって、例年高値で取引されています。
スーパーではなかなか見かけないですが、地元の魚市場ではたまに見かけたりしました。
また、大きくなった成魚よりも、一回り小さい個体のほうが年間を通して味が落ちず、美味しいともいわれています。
本題の旬の話になりますが、
上記のように、夏になってタイが希少でも獲れ、かつさっぱりといただけるため、
春夏が旬のイメージとなっています。
この時期は、メスの産卵期のため、多くの餌を食べようと活動するので、
釣漁などでの漁獲量は増加します。
このため、比較的流通するので、春夏を旬としたんだと考えられます。
一方で、夏は産卵後で脂が落ち、
秋冬になるにつれ脂をたっぷりと蓄えるため、
魚の味で考えるなら、
秋冬が旬
と考えられることもあります。
しかし、こちらは漁獲量が少ないため、
流通量が少なく値段もより高価となります。
出回る時期を旬とするか、
美味しい時期を旬とするか、
によってイシダイの旬が変わる
ということですね。
たしかに冬にイシダイを見かけたことも食べたこともなかったので、
今年の冬では探してみたいと思います。