日本語の難しさというのは、何年生きていても実感します。
時代とともに新しい言葉が出てくることを考えると、
むしろ何年も生きていくほどに実感するものなのかもしれません。
特に、簡潔さと正確さというのは、表現の場(話し相手)や目的(伝えたいこと)によって両立するためのバランスが異なり、
いつも自分はまだまだ勉強が必要だと痛感させられます。
言葉にもいろいろな表し方や意味合いを持つものがあり、
以下に興味を持ったものの例を示そうと思います。
語を細かく分解することで理解が深まる例として、
「なけなし」
という言葉があります。
「なけなしの金をはたいて」
「なけなしの勇気を振り絞り」
など
用例はたくさんあります。
この語を意味ごとに分解すると
な(無)/け(気)/なし(接尾語)
となります。
最後の「なし」は、「せわしない」や「うしろめたなし」など前の語の意味を強める接尾語となります。
「無し」ではないことに注意が必要です。
つまり「なけなし」という言葉は
「とても無さ気な様子」
というかんじになります。
とても少ない残り全てを出し切る、といった使い方になるのがわかると思います。
次は、発音時の言い方によって意味が変わるものの例を示します。
「よくない」
という言葉は、そのままの意味では
「よくはない」=「どちらかといえば悪い方」
となります。
「状況はあまりよくない」などはこの使い方ですね。
一方、語尾が上がり調で疑問符?が付いた時
「よくない?」
の場合はどうでしょうか。
「よくないだろうか(いいや、よい)」という反語表現になります。
関西で使われる「ええんちゃう?」も同じことですね。
また、若者言葉としてよく挙げられる
「よくなくない」
も、その派生ですね。
これは本当にその場面によって意味が変わりますし、
結局飾り言葉に近い役割かもしれません。
これらの他にも、ニュアンスが掴めてそうで掴めていない日本語は山ほどあります。
今後も、気になった言葉について、解釈していこうと思います。