戦闘はその規模や方法から、
白兵戦・遠戦・火戦などいくつかに分類されます。
今回は、この戦闘について少しお話させていただきます。
まずこれらの言葉の意味ですが、
遠戦や火戦については、なんとなくわかると思いますが、
白兵戦は名前だけだと分かりづらいかもしれません。
「白兵」とは、
刀剣、槍、ナイフなどの近接戦闘用武器(白刃)を装備して戦う兵士のことです。
戦国時代の足軽や武将はだいたいみんなこれに属します。
この白兵が互いにぶつかり合って戦う様式を白兵戦と言います。
古典的な戦闘とも言えます。
敵味方が入り乱れて戦うため、他の戦闘と比較すると味方殺しが多発し、
また敵味方の亡骸を踏み越えて進んでいくため、
戦場は死屍累々とした光景になります。
古代では、戦闘は白兵戦が主流で、人海戦術が主でした。
岩の投擲による敵城の瓦解や弓兵による後方支援もありましたが、
やはり最終的には白兵による物量的圧迫がメインでした。
海戦ですら、船首を互いの船腹にぶつけ合うくらいでしたし。
中世ごろ銃器が発達すると、
・白兵戦は、刀剣によるもの
・遠戦は、弓矢・銃器・投擲によるもの
という分け方が出来始めました。
白兵戦の対義語は遠戦という構図です。
しかし中世ヨーロッパでは、白兵戦がまだ重要視されていました。
その理由としては、自分が誰を倒したか、あるいは誰に倒されるのか
ということが、お互いの名を立てるにあたって重要な要素の一つとされたためです。
もちろん遠戦も存在し、後方から白兵戦を支援する大きな戦力となっていましたが、
大きな砲台などは、戦線の変化に対して受け身なので、劣性時には扱いが難しい代物でした。
近代以降で重火器が発展すると、
・白兵戦は、刀剣によるもの
・遠戦は、弓矢・銃器・投擲によるもの
というこれまでの構図に
・火戦は、重火器など火砲によるもの
と火戦が加わりました。
近代の戦闘では、
白兵戦の対義語にはこの火戦が用いられることが多いです。
また、遠戦でも個人単位のもの(拳銃や手榴弾など)は白兵戦の一部と考えられるようになりました。
戦場として新たに空戦が加わったこともあり、
近距離か遠距離か、という物差しではなく、
人か物か、という物差しの方が重要となったためです。
第二次世界大戦や現在の軍備では、爆弾やミサイルなどの火戦のための武力がそのまま国の軍事力として評価され、一方で白兵戦は、少数での敵拠点制圧や暗殺など、隠密的役割に回っています。
白兵戦がそこまで重要視されなくなったことで、人単位で動くことが敵の目につかなくなったとも言えます。
素人目で見た、ごく単純な戦闘の歴史的遷移ですが、
このように、戦闘の規模が歴史と共に大きくなっていき、
戦闘のスタイルや必要な場面も変わっていっています。
世界の軍事力は、どこで歯止めが来るのでしょうか。