前項で山椒について記述しましたが、
そういえば「サンショウウオ」はなぜ山椒と魚から名前が来ているのだろう
と疑問に思いました。
そこで、今回はサンショウウオについてお話させていただきます。
生物学的分類では、
サンショウウオは、両生綱有尾目サンショウウオ上科に属し、
日本や中国の他、アメリカなどでも生息を確認しています。
サンショウウオ、と言うと
一般的なイモリなどと同じ20cm以下の種を指すことが多いです。
一方、オオサンショウウオ、と言うと
鴨川でたまに見られる50~150cmほどの「世界最大の両生類」を指します。
このオオサンショウウオは、サンショウウオ上科オオサンショウウオ科に属します。
他の両生類同様に、鱗のない皮膚は粘膜で覆われており、呼吸はほとんど皮膚呼吸です。
皮膚が湿っていないと生きてられません。
このため、
特にオオサンショウウオなどの大型種では、繁殖期以外は水中から出ることは少ないです。
小型種なら、水辺の石の下や森林の落ち葉の下などの湿った環境でも生息できます。
では、そんなサンショウウオの名前の由来ですが、
まず後半の「サカナ」については
「魚のように上手に泳ぐ」から
くらいだと思います。
たしかに、短い手足と尾を器用に動かして泳いでいるのを見たことがあります。
前半の「サンショウ」については、
文献ごとに異なった説明がされており、主に以下の4つの候補があります。
・皮膚が、山椒の樹皮の色だから
・山椒の樹皮を食べていたから
・つつくと山椒の香りのする粘液を皮膚から出していたから
orさばくと山椒の臭いがするから
・山に生きる魚から、山生魚
一つずつ考えていきたいと思います。
一つ目の皮膚の色については、
たしかにそうかもくらいにしか思えず、他の両生類にも言えそうなので、納得しづらいですね。
二つ目の樹皮を食んでいたことについては、
サンショウウオは肉食性で、小動物~口に入るもの全てくらいを食べます(このためしばしば共食いもする)が、樹皮を食べることは聞きません。
この候補は怪しいかな?というかんじです。
三つ目の山椒の香りですが、これはよく広まっている由来です。
彼の北大路魯山人は、オオサンショウウオを食したときの様子を、
「山椒の香りが家中に立ち込めた」
と述べています。
また、生態系を研究・保護している専門家によると、
皮膚から出される粘液からは、全く山椒の臭いはしない
のだそうです。
日本では天然記念物のため食せませんが、中国では一応食べられるそうです。
機会があれば確認したいものです。
また、山椒の臭いそのものではなく
単に「きつい臭い」という意味からかも
という考えもあります。
最後の山生魚ですが、これは昔においてサンショウウオが貴重な蛋白源であり、人々の暮らしにより密接な関係であったため、「山にいる魚」(川魚とも違う)として名付けられた、というものです。
これが語感から山椒魚に転じたというのは十分考えられそうです。
このようにいくつか紹介しましたが、結局は決定的な由来は分からなそうです。
ちなみに、オオサンショウウオは京都市水族館でたくさん見られます。
あんまりたくさんいるから、珍しいものを見れたという感情にはなりません。
Wikiの「オオサンショウウオ」の項では、そんな京都市水族館の彼らの様子が伺えます。
↓↓是非一度確認してください。