みなさんは、熱いカレーと冷えたカレーではどちらがお好みでしょうか。
自分は、猫舌なこともあってかぬるい~冷たいカレーの方が好きです。
もちろん熱いカレーを汗かきながら食べるのも楽しいですが、冷たいほうがより味がしっかりしているように感じます。
このように、同じ料理でも温度が違えば食べた時の印象が異なることがあります。
今回は、温度による感じ方の違いを、
甘味や苦味など味覚別に軽く説明させていただきます。
味覚としては代表的な5味(甘味・旨味・苦味・塩味・酸味)を挙げます。
・甘味
デザートなどの「甘い物」以外にも、野菜や魚でも味付けや種類によって感じられます。
甘味は、温度が体温に近いほど強く感じられます。
鯛の刺身を鯛茶漬けにした方が甘さが引き立つのはこのためでしょう。
また、冷たいジュースがぬるくなると変な甘さが出てくるのもこのためです。
逆に言えば、温かい方がより少量の砂糖でも甘さを感じられるので、それを利用すれば糖分制限につながるかもしれません。
・旨味
グルタミン酸やイノシン酸によって感じられる味覚で、昆布・鰹節・魚介などから抽出した「出汁」はまさにこの旨味の宝庫です。
この旨味は、低温の方が強く感じられます。
例えば、うどんの汁では、最初に熱い状態で飲んだときよりも、食べ終わりごろのぬるめの方が、より旨みを感じられます。
料亭などでは、料理ごとに適した温度と旨味の両立を模索しています。
いくら低温の方が旨味が感じられるといっても、冷たい焼魚はちょっと嫌ですし。
また、風邪気味の人は味覚が鈍っているため、熱い物の旨味が普段より感じられにくい状態です。味を濃くするよりも、いつもより少しだけ冷まして提供する方が満足するでしょう。
・苦味
コーヒーのカフェインやお茶のカテキンによって引き起こされる味覚で、歳を取るごとに「悪くない」と思い始めていくものでもあると思います。
こんな自分も、サンマのわたやブラックコーヒーなどは、昔はあまり得意ではありませんでしたし。
苦味は、温度が高いほど柔らかく感じます。
つまり、温度が低いほど「苦っ」と感じます。
お店でコーヒーが信じられないくらい高温で出されるのも、
飲む頃の温度(65~70℃)でちょうど良い苦さになるためだそうです。
それでも熱いですが。
甘味との両立で言えば、点てた「抹茶」などは体温を下回らない40~50℃ほどが一番美味しそうですね。
また、苦味は5味の中でも特に「後味」が残る味覚です。
上記の甘味・旨味も、下記の塩味・酸味よりは後に残りますが、この苦味は味の減少速度が緩やかです。
身体に危険な物を口にした時の拒絶反応を、より強く印象づけるためだとも言われています。
ちなみに、「苦味」のWikiの頁では、なぜこの絵を使用したのかよく分からない「苦味」の絵があります。
・塩味
ご存知のとおり、主に食塩によって感じられます。
塩味は、温度が高いほど穏やかに、低いほどきつく(塩辛く)感じられます。
キッチンで味噌汁を作っている間(高温)は「もうちょっと塩入れよう」となっても、実際に食べるとき(低温)は「しょっぱっ」となるのはこのためです。
このため実際に食べるときの味を想像しながら調味していく必要があります。
旨味同様に風邪気味の人や、塩分制限を考えている場合は、少し料理を冷まして食べるのがいいかもしれません。
・酸味
最後の酸味ですが、これは温度にはそんなに影響を受けません。
チューハイの生絞りレモンも、唐揚げにかえたレモンも、それなりにどちらも酸っぱいです。
温度を上げると苦味や塩味が和らぐ一方で、酸味は変わらないので、腐った物の判断には役立つかもしれません。
冒頭で、冷えたカレーの方が美味しく感じる、と言っていましたが、
これは旨味・塩味がより強く感じられた結果だと判断できます。
普段の外食などでは、
提供者が提供時に合った調味を施してくれているはず(人によって感じ方に差はありますが)なので、そこまで意識する必要はないかと思いますが、
自分で何か作る場合などには、参考になればと思います。