雪の表現

3月下旬春分にも関わらず、関東では大雪に見舞われました。春分に東京で雪が観測されたのは34年ぶり、東京で大雪警報が出たのは32年ぶりだそうです。ようやく暖かくなってきたところにこの雪では、桜も咲き時を見失うのではないかと心配です。今回の雪は大粒で、短時間で積雪が見られました。いわゆる「ドカ雪」と表現されるものですが、そのような雪の表わし方や、「どかどか」という表現以外にも雪の降り方を表す言葉があったので、書かせていただきます。

「~雪」というと、曲名にもなった「粉雪」や「名残雪」(その年最後の雪)が有名でしょうか。年の最後の雪というと、名残雪の他にも「終雪」「雪の果て」「忘れ雪」などあります。また、めでたいことの予兆として「瑞雪」などもあります。「晴雪」は、晴れてるのに降っている雪ではなく、雪の降った後の晴天のことです。一面に積もっていたら「衾雪(ふすまゆき)」、まばらだったら「斑雪」と、積もった様子にも名前があります。
雪自体の別名としては、美称として「深雪」やその結晶の形から「六花・六華・六出」、香りのない花の意で「不香」、古代中国の女神の名前から「青女」といったものもあります。

他にも覚えておくと楽しいかもしれないものとして、なだれの別名として「頽雪(たいせつ)」(=くずれる雪)や、みぞれ鍋の別名として「雪鍋」、木の枝から雪が滑り落ちる様子を表す「垂雪(しずりゆき)」、正月に降る雪「三白」などあります。暇だったら覚えてみてください。

雪の降り方としては、「しんしんと」という表現が冬の静かな夜を表すのによく使われています。雪が降ることによる、雰囲気の描写としては他にも、物寂しく降る様子として「蕭々と(しょうしょう)」もあります。
雪が降ってるか降っていないかくらいのときは「ちらほらと」や「はらはらと」、絶え間ない場合は「霏霏と(ひひ)」や「こんこんと」、長く降り続いていたら「綿々と」などあります。
雪の舞い方の表現としては、湿り気なくまっすぐ落ちてくる様子として「さらさらと」、ひるがえりながら降る様子として「ちらちらと」、漂うように降ってくる様子として「ふわりふわりと」などがあります。

雨に関しても言えますが、とても豊富な表現方法があります。これまでの俳句や短歌などの日本の文学表現の結晶でしょうか。こう比較していくと、冒頭の「どか雪」という表現は、あまり情緒は感じられませんね。