居酒屋や料亭では、レモンやスダチなど、数々の薬味が現れます。
ミカンなどの柑橘類の中でも、
主にレモンなど生食に向かないほど酸っぱいものを香酸柑橘類と言います。
この中にはレモンの他に、
ライム、スダチ、カボスなどがあり、
どれも料理にアクセントを加える重要な食材です。
今回はこれら香酸柑橘類の違いについて紹介させていただきます。
・形
レモンの形状は、ご存知の通り球形というよりは楕円形です。
この楕円形に該当するのは他にライムがあります。
ライムは現在アメリカ・メキシコ産がほとんどで、
国内では四国で多少栽培されているくらいですね。
一方で、スダチやカボス、ユズなどはほぼ球形で形はミカンに近いです。
大きさとしては、ライムはレモンよりやや小ぶりです。
・カボスは野球ボール大
・ユズはカボスより一回り大きく
・スダチはカボスより結構小さい
といったかんじです。
・色
レモンと言えば黄色です。
ユズはそれよりやや橙色です。
他ライム、スダチ、カボスは緑色ですが、
それらのうちカボスとスダチは熟せば黄色になります。
完熟する前に収穫して使用するので緑色のイメージで定着していますね。
・味(酸味)
レモンのイメージとしては酸っぱさですよね。
・ライムは、
酸味はレモンに近いですが、レモンより苦みが強いという特徴があります。
・ユズは、
酸味に加えて独特の香りがあり、柚子風呂などにも使われます。
・カボスは、
酸味が比較的穏やかで、ミネラルによる塩味もあるため、塩の代わりにも用いられます。
・スダチは、
はっきりとした酸味を持つため、魚介類などの生臭さをさっぱりさせてくれます。
・用途
上にもちらほら述べましたが、それぞれ主な用途は以下のようになります。
レモン:オーソドックスな香りと酸味から揚げ物・カクテル・レモンティー・ドレッシング・菓子など幅広く使われ、柑橘類では最も人気です。
困ったらレモンでおおよそ間違いないと思います。
チューハイなどのために生絞りを使うのもレモンの特徴です。
ユズ:日本では季節行事でも親しまれ、ポン酢の中でも「ゆずポン」はその香り高さから特に人気です。
レモン同様に各種料理の香りづけやチューハイなど様々な用途があります。
ライム:他に比べて葉酸・カリウムが多く含まれるため、苦みがあり、様々なカクテルで使われます。
代表的なものとしては、ジントニックやモスコミュールなどあります。
一方でこの苦みのため、レモンのような菓子や料理にはやや不向きです。
カボス:ほどよい酸味から料理そのものの味を損ねず、鶏肉料理などに最適です。
また、刺身の醤油や天ぷらのつけ汁にカボスの絞り液を垂らすことで、風味良く爽やかに出来ます。
塩味もあることから、カボス汁だけで天ぷらや白身魚の造りを味わうのも良いです。ちなみにカボスのほとんどは大分産です。
スダチ:「酢の橘」という由来があるほど、絞り汁は酢に用いられています。
また、味の説明にも述べましたが、魚介類の味わいを残したままさっぱりと頂けます。
こちらはほとんど徳島産で、徳島の県花にもなっています。
秋刀魚にかけるとしたら、スダチかカボスか
というところですが、主に九州ではカボス、四国ではスダチだそうです。
自分の実家では、スダチを使っていたと思います。
このように用途についてそれぞれ書きましたが、これは各種の特徴を踏まえた提案に過ぎないので、
タイなどのお造りにライム
というのも一興かもしれません。
だいたい店で出てくる柑橘類はほとんどレモンだと思いますが、
店や品によってはそれ以外も出てきます。
そのときは、その料理と柑橘類との相性について考えてみると面白いと思います。
追記
他の香酸柑橘類についても後から調べたので、
ついでに載せさせていただきます。
・シークワーサー
有名な沖縄原産の香酸柑橘類です。
コンビニでは、缶チューハイでレモンやグレープフルーツと一緒に並んでるのも見かけます。
ミカンに近い球形で、未成熟時に収穫するので皮は緑色です。種が多いのも特徴です。
酸味が強く、沖縄では料理に広く使われており、沖縄版レモンといったところです。
完熟すると皮が黄色くなり、甘酸っぱくなるそうです。
日本果汁協会では、「シークヮーサー」を基準表記としているそうですが、
シィクワーサーだったりシークァサーだったりで、売り手によって少しバラついているそうです。
アボカドかアボガドかみたいな感じで、絶対この言い方が正しいというのはなさそうです。
・キンカン
紹介した香酸柑橘類が属しているミカン属ではなく、キンカン属にあたります。
実は小さく、果皮ごと食べられます。
実際には果皮と果肉の間の
「中果皮」(みかんで言うと、薄皮についてる白い枝分かれしてる線維)
に苦味・甘味があり、それを味わいます。
果皮ごと煮て、砂糖漬けや甘露煮にすることが多いです。