オルソケラトロジー

オルソケラトロジー

という言葉をご存知でしょうか。


角膜の矯正療法の一つで、

夜間に特殊な形状のハードコンタクトレンズを装用して睡眠し、その間に角膜の形状を正常に矯正する、

というものです。

先日テレビで子供にこれを使用している、という特番を見かけたので、少し調べてみました。
今回は、このオルソケラトロジーのメリットデメリットについて説明します。

 

 

最初にオルソケラトロジーについてもう少し詳しく説明します。
オルソ(矯正)ケラト(角膜)ロジー(療法)の名の通り、

物理的に角膜を圧迫することで、正常な形に矯正します。

 

これによって日中の裸眼における近視や乱視を矯正しますが、

一度の装用(一晩)でずっと効果があるわけではなく

1日~1週間とその効き目には個人差があります。

 

 

オルソケラトロジーのメリットを以下に挙げます。


・日中の矯正器具(メガネやコンタクトレンズ)が不要で、運動時に不便がない
…特にラグビーやサッカーなどの、接触したり砂塵が舞う可能性のあるスポーツでは、矯正器具によって不便に思う場面が出てきます。


・レーシック手術と違い非侵襲的な方法なので、角膜を削るなどによる副作用のおそれがない
…レーシック手術は角膜の一部を削って角膜を平らにすることで、恒常的な視力矯正を図ります。しかし依然として思わぬ副作用に見舞われるケースがあり、安全性という観点ではオルソケラトロジーの方がよいと考えられそうです。

 

近視進行を遅らせると考えられている
…特に角膜のやわらかい未成年者において効果を発揮するそうですが、日本眼科学会は、長期予後が不明なことから、20歳以上での使用を推奨しています

 

 

 

次に、デメリットを以下に挙げます。


近視/乱視の矯正は出来るが、重度の近視/重度の乱視/遠視の矯正は出来ない
…メリットの項目にあった近視進行遅滞と合わせ、オルソケラトロジーの適応範囲を考える要因となっています。

 

視力の日内変動
…効果が角膜の可塑性によって経時的に落ちていくため、朝と夜で視力が変化する可能性があり、一日仕事する人などでは不向きと言えます。

 

角膜障害
…装用が夜間の睡眠時という無意識下なので、途中でレンズが適正な場所からズレてしまう可能性があります。

そうなると、視力矯正が出来ないことに加え、角膜へのダメージが生じる恐れがあります。


買い替え、定期健診
…これはメガネやコンタクトレンズにも言えますが、数年で買い替えが必要となりますし、定期的に眼科で診てもらう必要があります。

 

 

ちなみに、パイロットの要件として、

「オルソケラトロジーを使用していないこと」

があります。

これはデメリットでも挙げた通り、視力が勤務中に変化することを懸念してのことと思います。


メガネやコンタクトレンズなどの矯正器具については、装用による矯正視力が基準を満たしていれば問題ありません。

 

 

睡眠時に着ける。というのはコンタクトレンズ使用を思い浮かべるとあまりいいイメージがありませんが、着け心地、外し心地はどんなかんじなのでしょうかね。

レーシック手術にも言えることですが、安全性や長期予後についてよりデータが集まってからの使用の方が、まだ無難と言えそうです。