赤提灯

本日は居酒屋の赤提灯という名称について書かせていただきます。

そもそも「居酒屋」という名称は、江戸時代頃からとされています。
酒の量り売り店(酒屋、酒販店)が、肴とともにその店内で飲酒する(=居続け飲む、居酒する)サービスを提供し、「酒販店として酒を売り渡すだけの店」ではなく、「居酒できる店」だと差別化するために「居酒屋」として売り出したのです。これに続いて惣菜屋や屋台営業なども酒類の提供を始め、独身男性の多かった江戸時代では、簡易に酒と食事が出来るとして、城下町で大変繁盛したそうです。
その当時から既に、店頭には提灯が吊るされていました。夜において通行人に店の存在をアピールするには、江戸時代には提灯の灯りしかなかったのです。このときの提灯の色ですが、今でも盆や祭りの時に神社で見かける「白提灯」が常識でした。白地の提灯に墨で店名を書くのが一般的でした。
あるとき一つの大衆居酒屋が提灯を赤色に塗って吊るしてみたところ、これが大変良く目立ち、客足が伸びたそうです。これを受けて、赤提灯を店頭に吊るす店が急増し、現代までに「居酒屋といえば赤提灯」というイメージが定着したそうです。赤という色は食欲を刺激するから、という考えもあります。
一方白提灯ですが、こちらも現代では提灯であることそのものに意味があるとして、店頭に掲げることにある程度の価値を持っています。先斗町通りでは、赤提灯を掲げる店も、白提灯を掲げる店も、どちらも目にします。赤色だけだと、賑わいはあるが少し品が無い、と感じる人もいるからでしょうか。もちろん白提灯でリーズナブルな店も沢山ありますが、どこか、白色の方が上品なイメージがあると思います。
これから行くくれないが良い例ですが、赤い提灯や看板以上に、店頭のメニューボードの情報量の方が圧倒的に多いです。それにも関わらず居酒屋を赤提灯と呼ぶのは、それの持つ賑わいや活気を、江戸から続くミームとして感じているからではないでしょうか。
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